漫画家・えびはら武司先生にインタビュー！

漫画家えびはら武司先生にインタビュー！藤子不二雄先生の素顔やマチコ先生誕生の裏側！

祝1回目のゲストは漫画家えびはら武司先生！

みんなVODのインタビュー記事の記念すべき1回目は、漫画「まいっちんぐマチコ先生」の原作者であるえびはら武司先生！

藤子不二雄先生のもとでアシスタントをしてから、まいっちんぐマチコ先生が誕生するまでの道のり…そしてこれからの活動についてなどなど、いろんな話をお聞きしました！

まずは、まいっちんぐマチコ先生が誕生したきっかけについて伺っていきます。

[みんなのVOD]
＞はじめまして本日はよろしくお願いします。

[えびはら先生]
こちらこそよろしくお願いします。

＞まず、さっそくなんですが「まいっちんぐマチコ先生」を描こうとおもったきっかけを教えてください。

最初は、藤子先生の色を消すためにちょっと色を入れた、みたいなのがきっかけでしたかね

＞あぁ、そうなんですね。

元々、藤子先生が書かないものを入れて色々手探りして、で、藤子先生はやっぱり日常生活にちょっと奇っ怪な物が出るみたいな話が多いんで、日常生活にある…。

で、これでなんか僕は日常生活に変なもの出さないで、普通の人間だけにしようってなったときに何をすればいいか？ってことで、じゃぁ『お色気は先生には無い』で、お色気描いて？藤子不二雄っぽい、藤子不二雄がお色気マンガ描いてるぞ、みたいな流れになって、ちょっとウケたのはありますね。藤子不二雄が描かない世界を描いた、みたいな。

＞ちょっとその辺に触れながらも、このままインタビューということで！

で、その後に先生は逆に影響を受けて、「お色気は藤子不二雄に無い」っていう風に言われてエスパー魔美を描いてたんですよ。

＞あ、そうなんですね。

けどエスパー魔美は先生流のお色気マンガなんですけど、ちゃんときちんと筋の通っているお色気だなって思って。凄いなぁって思って（笑）

当たり前に裸が出てくるシーンとか作って。やっぱすげえなって思って。藤子先生は、あれを、マミの裸を、シーンを描くためにSMクラブに通ってたんですよ。

＞あ、そうなんですね。

裸を描くためなのに。もうその真剣さも凄いなぁって思うし。

＞えびはら先生は逆にそういう、マチコ先生とかって、描いてる時に題材とかってどういうところからアイデアを…？

僕、けっこうね、今はアレだけど、当時写真集とかブームで売ってて、写真集けっこう買ってて、写真集だらけだったんで。 あとは、あの、ヌードクロッキーとか流行ってて、暇があると行ってたんで、なんか裸描くの得意になっちゃって（笑）

だから、服着てるよりラクだし、早いし、色塗る時もすぐ終わるし。これはラクなんじゃないかって思って。裸を、おっぱい出せば、原稿早く終るかなって。コマがたくさんあるのにバスタオル一枚しか巻いてない、みたいな。

＞あ、そうですよね。

そういうのがあると早く終わることが分かって。それで描いたのもありますね。

＞ああ…なるほどですねぇ～

いやいや、そんなすんなり受け取らないでよ(笑)

＞それでああいう形の原型になったんですか？すごい正論に聞こえたんですけど（笑）

立派な感じのように言うなよ、って(笑)

連載半年でアニメ化決定！その時の心境は？

＞そもそも、今、お話の中で伺ってしまったんですけど、漫画家になって、その、マチコ先生が誕生して、で、連載した中でアニメ化が決まったじゃないですか?

はい、連載してスグですね。連載して半年くらいですね。

＞あの時って、連載始まってすぐアニメ化するっていうのはどういう心境だったというか、当時はどんな…

当時って割とあまりアニメ化されるマンガがなかったんで、雑誌に１本か2本マンガがアニメ化されたものがあるとやっぱり注目される世界だったんで。今けっこう多いですけど。

あの、「なる」ってことは嬉しいなって、純粋に思いましたけどね。でも、やっぱり「なる」には色々な事情があって、あの、どっちかと言うとマチコ先生の感じは、今、雑誌連載している少年チャレンジって。チャレンジって本にアニメ漫画が１本も無いんで、マチコ先生をアニメにしようって動きもちょっとあったんですよ。だから『アニメ漫画を作ろう』と。だから、アニメ制作は学研なんですよ。

＞あぁ～じゃあ最初からアニメがある程度想定されてたんですね

で、ちょうど学研で「えぷろんおばさん」ていうのをやってて、その後「ニルスの不思議な旅」みたいのやってて、それ終わったあとに次のアニメ何作る？ってなったときに、会議にマチコ先生がたまたま上がって、じゃぁ今度いっそのことやろうって。同じ社内のマンガだから版権料も安いだろってみたいのもあって。

＞あぁ、そういうのがあったんですね。

あの、契約もしやすいということで。だからもう、僕的にはもう版権料なくてどんどんやって下さいって感じでね、作って下さいってことで。

＞そうなんですね。

マジ、学研がやるならもうちょっとキチンとした教育漫画にしようっていうのがあって、僕のただエッチなマンガだけにプラスに教育マンガ入ってるから、アニメはちゃんと筋通してますよ、毎回、話は。

しかも３０分あるんで。僕のだけでやると5分で終わっちゃうんですよ。いつも十何ページしかないんで。5分か10分で終わっちゃうんですよ。どうこれを30分にするかっていうのが問題で。

じゃぁもう少し話盛り込もうってことでライターさん入れたり色んな人いれてシナリオの流れも描いて、やっとやってるから、マンガ的にはとても重みのあるマンガになって、そこにエッチがちょっとプラスされて、ちょうどいい具合いのアニメになったと思いますよ。

＞そのマチコ先生のアニメとマンガって言うのはかなり内容的には…

まぁあの、ほぼ別々ですね。

＞あぁ、もう別の作品ですね。

アニメを描いてる人が、たまにマンガのシーンをどっか入れてくみたいな感じの流れですね、毎回。

＞そういう流れだったんですね。

僕の、何本か僕のまんま、何回かやったことあるんですけど、やっぱエピソード的に短いんで、僕も15～6ページしか描いてないんで、いつも。ホント、10分で終わっちゃうんですよ。

そこからまた膨らませなくちゃいけないんで。間にいろんなもん入れて、割と教育っぽいシーンを入れたり、色んなキャラ増やしたり。僕のマンガもそんなにキャラ出てこないんで、４～5人しか出てこないんで。アニメってもうちょっと増やさなくちゃなんないんで。

＞あ、じゃぁ登場人物は増えてる？

増えました。いっぱい。ものすごい増えましたね。だから、僕の考えてないキャラがいっぱい作られて。逆に僕がそれを使わせてもらったみたいな。

＞え、そうなんですか。

あ、でも、その辺はみんなそうですけど。アニメがやることによって、アニメとの意見が入って漫画家もそれによって協力して掛け合う、協力し合うっていうのがあるんで、全ての漫画家そうだと思いますよ、やっぱり。アニメと仲良くやっていかないといけないんで。

＞その中で反響ってやっぱり凄かったですね。

割と目を引いたシーンが多かったんで、そういう部分では多かったですよね。

＞僕、最初が実写の磯山さやかさんが入った…

え？誰？あぁ磯山さやかさん。磯山さやかさんて、一番面白くないやつだよね。

＞あ、そ、そうなんですか（笑）他の作品がまだ知らなかったんで。

あれだけキングで作ったやつで、他はTMCってとこで作ったんですけど。あの、ずっとTMCってとこでマンガ系を作ってたんですけど、あの、キングレコードからオファーが来て、やりたいってことで、それでTMCとキングと2本だそうって、やるってやったときに、女優さんを誰にするか？って、磯山さやかさんなら僕いいです、って言ったんです。で、オファーして。

＞あ、えびはら先生から…

磯山さやかさん、ただ、「私脱ぎません」て言ったんです。「じゃ、いいです」って。一切脱いでないですよ。あれは、磯山さやかさん、後で脱ぎ始めたんですよ。じゃぁ最初から脱いでくれれば…。そう思わない？

＞そうっすね。

そのビデオ、今でもレンタル屋にあるんですけど、あれって借りる人ってすごい期待して見ると思うんですよ。

＞そうですよね。磯山さやか好きは…

けど、服のままなんですよ。で、もう1人の女優の佐野夏芽ちゃんに脱いでもらって、逆に。水着になってもらって。だからちょっとあれは、あんまり期待を裏切るような映画もないかなぁって思うような映画でしたね。

＞特にあれって、マチコ先生のリアルな世代、ちょっと僕より上の30代40代の方だと思うんですよ。そういう人からするとかなりガッカリ…

ねぇ。こんだけ裏切られるのも凄いなって思うけども。磯山さやかさんの映画デビュー作なんで、一応ね。

＞あ、そうなんですね。

そういう裏があって。もっと言えば、本当は使う予定だった女優さん、マネージャーが反乱起こして、色々ちょっと問題起こして、色々あったんでね。

＞そうなんですね。そっから、磯山さやかさんもそうですけど、今の制作活動っていうのが…。あ、今の、マチコ先生のアニメ化っていうものが決まっていて、今、最近だと舞台とか…

舞台も5月にやって今度11月にもやりますね。

＞10日から13日ですね。あぁいう時って、えびはら先生ってどういうポジションというか、キャストとかも全部決めるんですか？

何もできない。今まで、あの、今回磯山さんもあれもそうだけど、舞台も全部僕は原作を一応提供しますって話だけで、後は全部向こうでオリジナルを作って、オリジナルで女優さん連れてきて…。

ようするに、なんでこの人使うの？って言いたくなるような人をいつも使ってるから、だけどやっぱり実は政治が、裏があって、この人を使うとチケットが何枚売れるとか、なんか色々あるんですね。そういう事なんにも知らないから。当時だったら、なんだっけな、なんとかノリコを使えばいいって、なんか色々言ってたんだけど。あの、もう終わっちゃったけどぉ～…まぁいいや（笑）

＞え！？(笑)

色々言ったんだけど、そんな簡単に行くもんじゃないって言われて、「あ、そっか。自分の好きな人で出来ないんだ」って。「好きなように出来ないんだ」ってことで11月はじめて自分の好きな人で演るんですよ。

＞あ、そうなんですね。

それが、和地つかささん。自分ひとりで面接行きましたよ。本人に会って。本人と一緒に映画に行ってきました。

＞そうなんですね。

インド映画観ましたよ。なんかこの間やってて。何だっけな。絶対勝つってみたいな。

＞そんなのがあったんですね。

知らない？女子レスリングの一家を持ったお父さんが、女子レスリングのポジションがあまりにも低いんで、なんとか地位を上げようとして…。長い長い（笑）これカット版て書いてあったからね。これでまだ3時間あるんだぁって思って。インド映画って長いんだなって思って。

＞確か、インド映画ってダンスシーンとか…

いつまで続くんだって感じで。まぁいいんだけど（笑）

まぁ、それで一応面接して。演劇ってチケット何枚売るってノルマが色々あって、やっぱり何百枚とか売れなきゃなんないってことで、売れるアレ付けたりして、和地つかささんがやるってことで、一応事務所通してやって、全部OKになって。で、和地つかさは決まったら、あと誰も決まらない。

＞あ、そうなんですか？

で、それは来週オーディションする。

＞あ、それで今…

あ、ブル中野さん決まってますけどね。

＞そうですよね。今お名前拝見して「あ、ブルさんだ」って。

ゲストコーナーがあるんで。しくじりコーナーがあるんで、そこだけ。特別授業があるんですね。学校のシーンなんで。特別授業あって、猫ひろしさんもそうだけど、猫さんとか、あと誰だ、色々出てもらって。ブルさんもね。

ようするに、全部で8公演あるんですけど、毎回見てもらいたいって言うのがあって、毎回違う人がゲストに来るよってやってれば皆来るんじゃないかって…。1回見りゃいいよっていうんじゃないよっていうのを個人的にやりたかったんで。平成版のを8回聞いただけじゃ…

＞あ、ぜひぜひ。宜しくお願いします。それで、舞台に関連してなんですけれど、その脚本とかは今回のやつが初めてですか？

今回のが初めて自分で脚本書くんです。

＞そういう時はどういうところから始めるんですか？

自分で描いたマンガを脚本化して渡しておいてたんですけど、やっぱり僕一人じゃ出来ないんで、やっぱり舞台のベテランの人に手伝ってもらわないとならないんで、見せたら「こりゃ～舞台にならん」と言われて（笑）

「舞台じゃないよ」と言われて、「何がやりたかったん？」と言われちゃって（笑）「僕、和地つかさ出したかっただけだったんです」。もうどうしよって思っちゃってねぇ。また今脚本書き直してるんですけど。

＞そうなんですね。

それが面白いですね、でも。

＞どういったところが気をつけるとこと言うか…

舞台って、本当はもっといっぱい出さなきゃダメなんですよ。20～30人。

＞あ！人をですか

うん。僕、いつも5～6人しか出ないんで。マンガってあんま出しちゃダメだって言われて、逆に言われてるんですよ。

＞あ、そうなんですか？

編集から、そんな出すなって。いっぱい出したら読者混乱するから。どんな多くても5人ですね。マンガってみんなそうだと思いますよ。下手すりゃ2人ですよ。今のマンガって。そんなに出しちゃいけない、だって読むほうが入っていけないもん。

＞確かに。

いっぱい出していいのは子供マンガですね。児童漫画。子供がギャンギャンさわぐし、野球するシーンとかでいっぱい出すよね。ドラえもんとかは10人くらい出るかもしれない話だったりね。でも基本的には3人くらいですね。

だから僕もそんなつもりで書いてたら、舞台はもっといっぱい出して、いっぱい舞台賑やかにしないと寂しくなるし。「あ、そっか～」って思って。

誰の目当てで来るか、お客さん分かんないから、それによってチケットもいっぱい売れるよって言われて。そういうのも心配しないといけないんだなぁって思って。何にも考えてないから、そういうの。

＞かなりマーケティング的というか（笑）

そうなのよ～。まぁちょっとね。

＞そうなんですね。分かりました。ありがとうございます。

まいっちんぐマチコ先生は舞台・映画化も！

＞ちょっと動画に関連する話題で、映画の方が9月8日から。あれっていうのが、完全「初恋スケッチ」っていうかたちで、時代がマチコ先生の時代じゃないんですね。

10年後ですね。マチコ先生の学校が、あらま学園というのがなくなって10年後に廃校になるっていう話が出てきて、それをもって皆で止めるってことで。 僕、一応、今回、今年45周年デビュー作品になったってことで、ケンタくんに僕の役をやってもらったんです。ケンタくんは漫画家になってるんですよ、実は。

＞あ、そうなんですね。あの、シズルの？

そう、落ち込んでる漫画家になってて。ちょっとスランプになってる漫画家になってて。で、もう1度あらま学園を盛り上げるために戻ってきて、あらま学園でちょっと漫画家らしい、黒板に絵を描いたり色々して盛り上げて、あらま学園を守るみたいな話になっているんですよね。

＞それって、えびはら先生が、シズルのあの方が…

それも今回プロデューサーした方が気を使ってくれてやってくれただけで、僕それ頼んでもなにもないんですよ。せっかくならそうやろうってことで。最後にチラッと僕が出てきます。映画の最後に、一瞬。

＞映画の本編の方にですか？

そうです！エンディングロールのところですね。エンドロールの最後にあんな感じで（笑）よくあるじゃないですか？最後の方にね。帰ろうとしたらまた始まったって。

＞今現在の活動について、最近は連載はされていらっしゃるんですか？

今は、さっきも言った藤子先生の裏話的なヤツを竹書房でやってますね。「藤子スタジオアシスタント日記」ってヤツで…

＞あ、それ拝読させていただきました。

あれ、元々「まいっちんぐマチコ先生誕生秘話」の話だったんですけど、藤子先生のところに入って色々学んだことがあってマチコ先生描いてって話しようとしたら、藤子先生のところにいる時の話が面白いってことになって、未だに藤子先生の話がずっと続いてて、本当に辞めてからの話で、いつ終わる、どこまで続くんだろうって思うくらい、藤子先生のところにいた2年間をずーっと書いてるだけなんで、もうネタないです。困ってるんです。

＞あれは本当にアシスタント日記の中にあるのって、本当にそのままな感じなんですか？

当時の思い出を書いたり、後はあのファンが知らなかった藤子不二雄の素顔を書こうと思ったり、あぁこういう人なんだって、けっこう臭いおっさんだったんだ、みたいなね。

＞いつもパイプ臭いとか？（笑）

僕も藤子不二雄！ってすごい憧れて行ったけど、もうスターじゃないですか？行ったんだけど、ただの親父なのよ、くっさい（笑）よく考えたら、だってタレントとかじゃないから、気ぃ使わないじゃなですか？化粧も何もしていない、あったりまえだけど。なーんか、もう、食べかす付けてたり、タバコずっと吸ってくっさいし。

なんか、この距離でずっといたから、しかもパイプですよ。くっさいの、何のって。パイプの臭さ。しかも、吸わないでずっと置いてあるじゃないですか。吸ってくれればまだいいけど、ずっと煙は出てるから、「くっせ～な」って言いながら。

で、こうやって窓をいつもちょっと開けて、冬とか、エダなんか「寒いよ～」て言われて「だって臭ぇ～んだよ」って、いつもぶつかってたんですね。そういうのを書いてますね（笑）

＞元々は藤子先生に憧れて入ったって…

もちろん。

＞やっぱり入った後だとだいぶ違ったっていうか…

でも、漫画家ってそうなんだなって。漫画家の描く絵が商売なんで、本人はどうだっていいんですよね。だから、よく少女漫画もだけど、すごい綺麗な女の子が出てくる少女漫画の漫画家と会うととてつもない男っぽい人だったり、なんか漫画家ってあんまり会っちゃいけないんだなって事だね。

＞そうなんですか。

今はでもきれいな人増えましたね。昔はとんでもない人多かったですよ。たまたま会っちゃた人がダメな人でしたね。憧れて入って、僕はこの人のとこに弟子に付くしか無いと思ってずっと生きててね。

＞それで藤子さんのところに入ったわけですね。

その藤子先生のアシスタント日記のところで聞きたかったことがあったんですけど、アイデア料で、アイデア出すと100円出せるって、あれはほんとにあった制度… はい、本当にもらいましたよ。シャレでね。なんか良いアイデアもらうと「買った！」とか言ってね。

＞あれ本当なんですか。

100円くれましたよ。あれが1万円だったらシャレにならないじゃない。100円だから笑えるんですよね。1回スグくれるんで良かったよ。

＞えびはら先生、いくつくらい出したとかあります？

１８～９ですよね。

＞けっこう出しましたね。けっこう出すんですね、アイデア。

あぁ、でも、先生ここにいて雑談してる時に「そのネタ面白い、買った」て言って100円くれるから、別に先生に提供したワケじゃないんだけど。 たまに食べ物で美味しいネタないか？て言われた時に、「『しいたけ』じゃなく『シリタケ』ってどうですか？」「これ買った」とか、聞かれたときに答えたこともありますけどね。

＞そういや「ケロンパス」でしたっけ？

「ケロンパス」はもう1人格闘家みたいな人がいて、サロンパス貼っても全然疲れが取れない、もっと取れるの作った方がいいねって元々の発想でね。

＞あ、これアニメで見たヤツだって（笑）あ、コレえびはら先生が出したんだって。

ケロンパスはコミックスに入ってないんじゃないかな。

＞アニメの方で確か…

やったけど、コミックスには入れてないハズなんですよ。確かダイヤモンドプラスに入れてるはず。ようするに、先生が選んでないヤツ。おそらく、そのくらい大したネタじゃないんですよ(笑)

＞(あのネーミングけっこう気にいってるんだけどな…)

だから別巻にいれてるはずです。先生の選んだ本には絶対はずしたハズです。自分のアイデアじゃないからでしょうね。

＞あぁ、買ったは買ったけど…

気が引けたんじゃないですか。

＞なるほど、そうなんですね。けっこうドラえもんの話とかって、想定してた自分の知ってたドラえもんとかなり正直違ったというか。あれは凄く新鮮…

ドラえもんは元々何ていうんだろう、藤子先生、おばけのQ太郎って昔書いてて、大ヒットして、もうとんでもない金額お金入ってきちゃって、て言ってたら段々金額減ってきちゃって、物も売れなくなって、じゃなんか次を作んきゃってなった時に、先生が次描こうってなったときに、同じような作品を描いてくれって言ったのに、先生はパーマンを描いたんです。全然違うの。

普通は、また似たり寄ったりするの描けばいいのに、先生は同じの描きたくないって言ってパーマン描いてコケちゃって、物が全然売れなくて。パーマンも大ヒットしたんだけど、先生たちの規模からしたらもう10分の1以下なんですよ。

＞その、おばけのQ太郎から比べると。

もう凄すぎたなって。だから、これは大変だって言うことで、怪物くんやったけど、先生は同じこと絶対にやりたがらないから。おばQ路線は絶対ヤダって。 怪物くんやって、ウメ星デンカやったけど、とてつもなくどんどん落ちてきちゃって。とにかくウメ星デンカで一旦藤子先生アニメ打ち切ろうってなっちゃって。

＞え、そうなんですか。

ウメ星デンカも、先生途中で描くのやめちゃったくらいで。途中でアシスタントが全部描いたんだよ。先生は途中で口でアイデア言うだけで。先生ももう儲かんないからやめはじめて。

で、もう普通学年誌に描いてるマンガっていうのは3月号で終わるんですけども12月号で終わっちゃって…。3ヶ月何するっていう感じで。もう打ち切ろうみたいになって。 ってなった時に先生が初めて思ったのが、もう1回おばけのQ太郎描こうって。で、描いたのがドラえもんだったんですよ。

＞そうなんですね。。

ドラえもんはおばけのQ太郎と全くそっくりだったんですよ、出だしが。だから頼りないオバケが頼りないロボットだった。だから初期のドラえもんはのび太のほうがしっかりしてたハズなんです。

＞あぁそうなんですか。

で、ドラえもんが来たけど、「なんだコイツ？頼りにならねーよ。こんなんで大丈夫なの」って話でずっと毎回描いてたのに、知らないうちにどんどんどんどん変わってきて。やたらしっかりしたドラえもんになっちゃった。（笑）

＞僕の世代では、ドラえもん＝しっかり、のび太頼りないってイメージですね。

でもドラえもんの最初は、ドラえもん全然しっかりしてないんですよ。そこら辺にいる猫に恋して自分で屋根に登って「好きだ好きだ」って言って追っかけて、もうドラえもん、いい加減にしなよって感じの話ばっか描いてたの、当時は。

段々だんだん先生は、オバケと一緒じゃこりゃダメだってことが分かって、どんどん色んな人と会話をして色んな意見、読者からの意見を取り入れて変えていくうちに、一年くらいで変えちゃいましたからね。じわ～っと。

その時のドラえもんの話はあまりコミックに入れてないんだけども、面白い話が多いんで時々コミックに挟んでいるんですよ。そればっか書くと頼りないドラえもんの話になっちゃうんで。たま～にエピソードで入れてますね。だから原案と比べるとぐちゃぐちゃなんですよ。

＞はぁ。それは知らなかったですね。最初はお餅が好きとか、設定がかなり違ったんですね。

たまたまお餅があったんで、新年号だったんですね。ウメ星デンカが12月号で終わって、1月号からドラえもんを描かなきゃなんなくて、で「何書こう、1月だったらお餅だろう」ってことで、「お餅食べた、あぁお餅美味しい」、1年中お餅食ってるキャラでいいだろって話になったんで。

だけど1回しか食ってないですね（笑）そういう発想だったんだけど、どんどん変わっていくんですよ、設定が。でも、お餅のようなどら焼きが好きになった、結局ね。ドラえもんがなんかどら焼き、1年中食べれるもんにしよって。先生もどら焼きが大好きだったんで。

＞あの「ときや」ってのは実際にあるお店なんですか？

行ったことないですか？新宿西口にちゃんとありますよ。小田急入ってすぐ隣にありますよ。大きいですよ。こんなんですよ。

＞あ、そんなに大きいんですか？

これで2000円～3000円で、ナイフとフォークで切って食うんだよ。

＞ホントですか？そんな大きいんですか？

こんなんもありますよ。でも、これがメイン。

＞じゃぁ、今度行ってみます。

一人だったら食えない。。

＞あぁでも買ってきて会社食う、みたいな。

そうですね。でもお土産に持っていくと喜ばれますよ。「はいお土産。ドラえもんのどら焼きです」

＞そっちで今度行かせていただきます。

ぜひぜひ。そこで食べてもいいしね。半分で食べて残して持って帰ってもね。箱に入れてくれるんで。

あそこと、あそこにあった喫茶店があったんですよ。パルコのすぐそばに。何だっけ、名前忘れた。「ピース」だったかな。あそこの一角が藤子先生のいつもアイデア場所なんですよ。で、あそこでいつもアイデアやって、どら焼きやさんでちょっと休憩してどら焼き買って食べて、会社来るって感じだったんですね。あの辺いつも先生いましたね。

＞そうなんですね。そしたら話が戻ってしまって申し訳ないんですけど、これからちょっと執筆活動というかまいっちんぐマチコ先生を書いてらっしゃる中で、アイデアと言うか、参考というか。。

最近は書かないからねぇ。

＞あ、当時ですね。影響を受けた方って。

あぁ、さっきのあれね。吾妻ひでおが大きいかもしれないね。吾妻ひでおさんのエッチマンガは面白かったですね。見たことあります？

＞ちょっと拝見したことなくて。永井豪さんはデビルマンとか見た経験が。最近リバイバルされてアニメやってたんでちょっと知ってるんですけど、そういうところはなんか描写というかそういうところを参考にされてるんですか？

さりげない、明るい朗らかなエッチってとこで吾妻ひでおさんですね。「ふたりと5人」ですね、やっぱり。 「ふたりと5人」で吾妻ひでおさんが主人公に「おさむくん」て名前を与えてたんですよ。手塚治虫から取ってるんですよ。もう漫画家なんで、手塚治虫から取る。で、僕は里中満智子から「マチコ」を取ったんですよ。少年漫画と少女漫画のトップをとりあえず入れたつもりだったんで。そういう影響があるんで。で里中満智子さんにこないだその事話して「光栄です」と言われて（笑）「スイマセン」て。

＞他のところでちょっと、ホント申し訳ないんですけど…。最初、映画を10コ聞こうと思ってたんで。

映画を？

＞映画、エロい漫画、動画を10コ聞こうと思ってたんで、ちょっとこの影響を受けたっていうところで永井豪さんて…

やっぱり、当時、エッチな漫画っていっぱいあったから、読んでたから微妙に影響受けてたかもしれないね。あまり、もろ影響ってないだろうね。そんなにねぇ…。影響を受けさせなきゃいけないほうなんでね。

＞じゃ、あまり影響を受けすぎちゃう…

でも、写真集とか多かったかもしんないね。あとテレビのそういう深夜番組とかも多かったかもしんないね。けっこう、11PM だったりトゥナイトだったり。けっこうエッチィなのいっぱい出てて。普通にやっぱり出てたからねぇ。

自分の部屋にテレビを置いてもらったのが嬉しくなりましたね。これでいつでも見れるぞって（笑）今まで居間でしか見れなかったからね。部屋にボロボロのテレビだけど置いてもらって。

＞やっぱりえびはら先生はエッチなことは元々好きなんですね。

もちろん！

（2人で爆笑）

＞すいません、なんかフェイスブックを見ると女の子との写真が多くて。

そう？

＞色んな、バーレスクの方だったりとか

あぁ、あれは。だからといってなんかあるわけじゃないですよ。

＞水着の子と…

あれもだけど仕事だからね。あれはバーレスクの宣伝やってるから。今度、僕マチコ先生イベントやるんですよ。そういうのもあるし、店長が来てくれって。写真載っけてくれって。なんか、良いひな壇に座らせてくれて（笑）なんかVIP席があって、ひな壇になってて丸見えの席に座らせてくれて恥ずかしかったですよ。

＞そうなんですね。

あ、でもあれは、良いところですね、バーレスクって。行ったことないですか？

＞行ったことないです。

あれは行かれた方が…、普通のショーパブですよ。素晴らしいっすね。エロとか出したりしないからね。女の子もいっぱい来てるしね。楽しいところですね。 今度ミュージカルやりますんで、その参考にもなるかなって思ってね。ミュージカルショーですよね。

＞あぁバーレスクって本当に名前の通り舞台とかそういう、あ、そういうのやってるんですね。

そういうのもあるし、僕、毎回まいっちんぐの女の子上げて、なんかその時に何かちょうど出てる女優さんとか、なんかタイミング合う人をけっこう出すようにしてね。だいぶ前に撮ったんだけど今週使おうとかね、やってるんで。だから必ず今日会った人じゃないんですよ。

＞あ、そうなんですね。エッチィ人…

エッチィ人ってあんま載せてないですよ。全部女性だけだからね、毎回ね。

＞そうですね。神取忍さんとかも…

神取さんともたまたま会って、神取さんもまいっちんぐしてくれるかなと思って、お願いしたらやってくれて。じゃぁ載せるしかないなって思って。たまたま飯食って。いい人だなって思ってね。 そしたら、なんか、井上貴子って女優さんが引退するんで、一番前の席買ってくれって言われて3万円の席買わされて、高く付いたなって思って。『3万円～～～？』なんて言わない、「あぁ良いっすよ。」って言って。 1万くらいかなって思ってたから。お土産付きますからって言われて。…どうでもいんですけど。

＞あぁ、色々大変なんですね。

2枚買わされましたよ。6万円ですよ。誰と行こうかなって(笑)

＞今後の活動で、最近の話題で、まいっちんぐマチコ先生お宝コレクションが今出てますよね？

今回出たヤツですね。絶対増刷しないってモノですね。

＞あれって全然もっと本編になかったものとかが…

さっき言ったような、エッチ過ぎて入れなかったものがメインと、あとさっきの永井豪さんが絡んでるんで案件的に出せなかったものとか、あと自分で「これは面白くないよな」って外したのとか、のを全部まとめて。 あと、同人誌で出してたやつ。コミケですね。コミケのやつも入れたりとか。だから、じゃあ「お宝コレクション」という名前で、2000か3000だけ作って、もう増刷やめようねってことで、一応話して。明後日サイン会やるんで、神保町で。最後のね…。

＞そこで、本も買える？

そこで買えます。そこで買った人だけのサイン…。良かったら来て下さい。

＞是非宜しくお願いします。

1冊2000円ですからね。高いよね？思いません？

＞いや、あまり高いと思わないっていうか。

お金があるからじゃないですか？

＞いや、そんな。えびはら先生の足元にも及ばないです（笑）

けど、コミックス1冊2000円て高いと思うけどねぇ。普通1000円以下じゃないっすか。。

＞でも最近豪華版とか、スラムダンクとか豪華版が出たリとか…。

あぁ、そういう観点で見るとあれなんだね。結構カラーが2,30ページあったりとか、ちょっといい扱いされてるんだよね。

＞そうです。だから全然僕は高く感じないですね。

あぁ、有り難いです。2冊買うと4000円になりますからね。

＞それは１，２巻とも買えるんですか？

１，２巻買った人しか中に入れないんですよ。

＞あ、そうなんですか。入場料4,000円みたい、な。

4,400円かな、税金入れて。 まぁ、来れたら。プロダンサーあきら、来ます。知らないでしょ？

＞あ、お写真だけ拝見しました。

見ました？キレイな子でしょ？

＞キレイな方です。最初はアイドルかと思ったら…

アイドルじゃないです。普通にダンスやってるんだけど、絶対ダーツをメジャーにするってポリシーで。ダーツって本当にどん底のスポーツになってたんで、ただ、お年寄りも子供も、誰でも出来るスポーツだと思って、同一レベルで。足が悪い、車椅子でも出来るんじゃないってことで始めた子なんで。なんとかメジャーにしたいって事で。私財上げて一生懸命やってます。だから応援しているんです、今ね。

だから今回ボクやるよ、って、北海道に住んでるんですけど、喜んできてくれてね。飛行機で飛んでね。もし良かったら紹介しますんで。本当に来るんですか？

＞行っていいんですか？

全然来て下さい。人があんまりいないと思うんだよ。悲しいね、人いなかったら…

＜ここでイベントについてワイワイと雑談＞

＞おっと、話もどりますが、さっきもお話したんですけど、今後は何か連載とか新作って言うのはあまり考えてらっしゃらない…

依頼があればどんどん描きますよ。でも依頼があんまり来ないんで。まだ言っちゃいけない、他の雑誌の話が来てるんで、秋には描くと思います、もう１本は。それはまだ言っちゃいけないんで。描く予定ではいます！ それとか、言われれば描くけど、今はでも、あまりスタッフがいないんで、で、漫画のためにスタッフを雇うとまたなんか変な気を使っちゃうんで。一人で出来る範囲でやろうってことであんまり量作んないのもありますね。

漫画家ってみんなそうなんですよ。年いくと人を使うのがだんだん嫌になってきちゃうんでね。本当に、人を使うのってほんと大変なんですよ。特に漫画は気ぃ使うんで、色々。だから、なるべく一人で出来る範囲で終わらそうって言ってね。 あの人もそうですよね。なんだっけな、渋谷の人、おっちゃん、松濤の人、東京大学物語…？

＞あぁ！

江川さんとかもすっげー仕事部屋広いの持ってんのに一人でやってんだよ、寂しく。人使うの嫌だから。「もう～やんなった」って。だから、ほんとに、机１０コくらいあるのに、一人でこんな寂しくやってんだよね。たまに息子がベタ塗ってるくらいでね。でも人使う苦労を考えたら、もうこのほうがラクだって。

＞そういうものなんですね。

だからまぁ、一人でできる映画とか舞台とか、そういう方で仕事が続けられればいいかなって言うのはちょっとありますね。

＞なるほどですね。じゃぁこのまま新作はぁ？

言われれば描くって感じ。言われれば描きますけど、マンガ本がどんどん減ってるんであんま言われなくなるって感じですよね。毎週のように無くなってるからねぇ。

＞あぁそうなんですね。体感としてあんま無いっていう…

ただ、ネット漫画っていうのは増えてきてる。そっちに、ウェブ漫画として増えるかもしれない、これからねぇ。だからあの、ゆでたまごさんのキン肉マンとかも、もうウェブ限定にしちゃってるからねぇ。発表がね。

＞あ、そうなんですか。

で、コミックは出してるっていうか。そういうのでもいいのかもしんないね。ウェブはだからただで読めるわけだから。

＞あ、ただ！

で、コミックで儲けるみたいな。

＞あ、発売してって感じなんですね。

今って雑誌ってほとんど黒字になってない、ほとんどの雑誌が…。

＞あぁ、ジャンプとか…

ほとんどコミックスで元取ってるみたいな。単行本で儲かるなら、単行本だけ出して雑誌は出さなくていい時代な…。ウェブで漫画を発表して、コミックで儲けるみたいな。その方がお金使わないで済むから。そういう発想てどんどん増えてると思います、これから。コミックはまだ結構売れてるからね。

＞確かに。単行本は僕もけっこう買います。

今まで漫画人生で、これから漫画とか舞台とか映画とかもやられる方に向けて、その制作ですよね、ものを作る方に向けてのアドバイスというか、えびはらさんが経験した上でこういうところ気をつけた方がいいよみたいなところがあれば教えてください。

そんな言うほどのものはやってないですね。まだ新人ですからね、そっちはね。今までけっこうワガママいっぱい言ってたけど、初めて作る身になって皆さんの苦労が分かりました、ごめんなさいって言うぐらいだね、言えるとしたら。色々映画とか舞台とか、いろいろ作ったけど、文句ばっか言ってたけど、作る身になって初めてこんな文句言うもんじゃないなって…。やっぱ大変なことなんだな。

＞と最後まで謙虚と豪快さ、そして何よりも優しい人なんだなという雰囲気を感じながら、えびはら先生のインタビューが終了。

今回はインタビュ初挑戦で、いろいろ聞きたかった事が聞けなかったのが残念！次に機会があったときはかならず完璧なインタビューをするぞ！